大橋謙策先生
今から2週間ほど前になるが、日本社会福祉事業大学学長の大橋謙策先生とお話をする機会があった。大橋先生は、おそらく今の日本の福祉界を代表する先生だと思うんだけど、地域福祉に関しても本を書かれているし、日本地域福祉研究所なるNPO団体を立ち上げて、コミュニティ・オーガナイザーの育成を具体的に進めてきていることもあり、以前から気になっている存在だった。しかし、在宅を基盤とした福祉の推進や、社会福祉士という国家資格を進めるにあたり、いまいち納得できない部分も多かったことも事実で、お目にかかる際には、僕の考えているビジョンのようなものをぶつけたいと思っていた。
しかし、これが会ってみると、どうしたものか、その人の知識の幅の広さや、福祉というものを全体的に捉え、哲学的に福祉の方向性を模索している、なんとも魅力的で幅のある人物だった。僕がえらそうに書くことではないけれども、すぐに自分と同じスタンスで、同じビジョンを共有しているのだと分かった。
そもそも僕は、自分が探求している学問が、福祉とは思わずに、ごく自然な流れで福祉の世界に入ってきた。それはきっと、NPO活動など市民活動を行っている人みんなに共通することだと思うんだけど、今日の社会構造・政治構造の中で、民主主義を実践するためには、市民社会の構築が必要で、それをひたすら模索し続けて、市民社会の構築に関する学問を突き詰めたら、そこには社会福祉という世界があり、その中でも、特に地域福祉という世界が、僕の求めているものだった。
だから、僕の中で、福祉を勉強する枠組みは、人類の文明の一歩であり、人が一つの尊い生命体として、個と他のバランスの中で生きていくことを具体的かつ円滑に進めることだと思う。そんでもって、それを本当に具体的に進めようと思うと、A市の地域福祉計画では策定のプロセスへの市民参加がどうのこうのとなるわけで、あまりにもそれに根詰めてると、自分のビジョンを忘れてしまうんだよね。
まぁ、それはいいとして、とにかく、大橋謙策という人物は、自分のビジョンを常に前面に押し出し(関西に来ていたからそれができたのかもしれないけど・・・)、そのビジョンと、現実世界で具現化することの困難さに頭を悩ませながらも、無駄な後悔や、失敗を恐れることなく、走り続けている。
大橋先生ほどになると、世に与える影響力は大きく、実際に先生のビジョンが、政策へと反映してきているし、先生の教え子の先生方が、同じビジョンを共有し、フィールドや、教育に反映させていっている。これをエリート的と見る人もいるかもしれないが、誰かがやらなくてはいけないことであり、社会の必要を分析し、自分がその必要を埋める最適な存在であると感じたのであれば、必要原則の下、大いに社会への影響力を持てばいいと思う。それを、市民社会の平等原則の下、一人の人物が権力を独占していると考える者がいたら、それは、民主主義を実現することの困難さを知らない者だろう。CO道のテーゼでも示しているとおり、この不平等さゆえに、実現困難な民主主義を成り立たせること、それに向かって実際に悩み、行動を取ること、それが、コミュニティ・オーガナイザーに求められる資質であろう。
そう考えると、またしても、この世界で、熱いコミュニティ・オーガナイザーに出会うことができた。大橋先生が培ってきた、多くの成功と失敗を参考に、大橋先生以上の知識とビジョンを持ってはじめて、民主主義のかけらをより大きなものにすることができるのではないだろうか。体をはって、自分に何ができるのかを示してきてくれた(勿論これからも、示してくれるとは思うが)大橋先生に乾杯としておこう。
ちなみに、僕はゴマをするような人間ではないので、別に大橋先生をほめていると言うつもりは無い。ただ、その人物の熱さに共鳴していると言うことだろう。
